
2006年、36歳で書かれたハン・ガンのエッセイ集。
ハン・ガンが苦悩していた時期に書かれたエッセイで、「書きたいのに、書かなければいけないのに、書けなかった時期」がこの年だそうです。2005年に『蒙古斑』が李箱文学賞、2007年に『菜食主義者』が出版されるまでの、作家として飛躍するための時期だったのでしょうか。
目次1。

目次2。
1.くちずさむ、は幼少の頃からの音楽との関りが綴られています。2.耳をすます、は音楽にまつわるエッセイです。
文学と音楽の親和性は高い、ということをかつてブログに書いたことがありますが、作家と音楽の結びつきはあるようで少ない気がします。安部公房がピンク・フロイドを好きだったという例こそありますが、作家が音楽を語るのはあまり聞かない。それとも、わたしがそういう作家の作品をあまり読んでないだけか?村上春樹などは多いのだろうか?
なにはともあれ、ハン・ガンの音楽好きがこの一冊に込められていて、気持ちよく読めました。残念なことは、ほとんど韓国の曲なので(ビートルズとPPMはあったけど)、私には曲の印象が全くわからず、真にエッセイを理解していないだろうということです。雰囲気で読みましたが情緒は伝わってきました。
3.そっと静かに、は自作の詩とそれにまつわる話です。今回初めて知ったのですが、作詞作曲して、ボーカルまでとった音源があるんですね。韓国版では本書にそのCDが付属しているようですが、日本語訳にはありません。ハン・ガンのサイト聴くことはできます(後述)。
ノーベル文学賞まで取った作家がシンガーソングライターというのは、ちょっと驚きました。川端康成や大江健三郎が自作の歌を歌うなんてことは想像しがたい(でもボブ・ディランがいるか)。三島由紀夫が映画出演したり、内藤国夫がレコード出したりするくらいのマルチタレントぶりです。
小説とはまた違ったハン・ガンの一面を知ることができた気がします。

こちらがそのオリジナルアルバムの情報。
『少年が来る』の韓国語朗読はWebですべて聴けるようです。
ハン・ガン作詞作曲&ボーカルの曲は、가만가만 부르는 노래(そっと静かに歌う歌)と記されています。Track1のみが聴けます。
小説のイメージ通りの歌声だな、と思いました。頻繁なブレスが小林麻美を彷彿とさせます。
→ https://han-kang.net/archive/sound

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訳者プロフィール。

奥付。
p.s. 藤井名人、雁木で全く付け入る隙なし。3000引いて600残し。
