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ツリオヤジのダイアリシスな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

すべての、白いものたちの - ハン・ガン 斎藤真理子訳 (河出書房新社)

横浜市立図書館に貸出依頼していた本が忘れた頃に連絡がきた。ハン・ガンの作品は大人気で、これまで借りた本も予約時には200人近くの待ちになっていましたが、この作品も100人以上の予約がスタックされていて、半年くらいかかりました。あと2冊を依頼しているのですが、今調べてみたら、『菜食主義者』は166人待ち、『涙の箱』は162人待ち、読めるのはいつになることやら。

本書『すべての、白いものたちの』は、2016年の作品。『少年が来る(2014年)』の後の作品になります。

 

「白いもの」に関する抒情詩で、3つの章に分かれていますが、テーマは死(別れ)と再生(恢復)に関するもので、『回復する人間』、『別れを告げない』、『少年が来る』の作品と同様な底流を感じます。

作家の言葉(=作者あとがき)によると、

私の母国語で白い色を表す言葉に、「ハヤン」と「ヒン」がある。綿あめのようにひたすら清潔な白「ハヤン」とは違い、「ヒン」は、生と死の寂しさをこもごもたたえた色である。私が書きたかったのは「ヒン」についての本だった。

とあります。そしてその物語は、出産後に死亡したハン・ガンの姉の話から始める必要があったと書かれています。

死者を想う気持ちと、生きている自分との関連について、さまざまな白いものを用いて綴られる文章は美しく、そしてはかなさを感じさせるものでした。

巻末の作家の言葉は、本書の理解に大きく役立ちました。最初に作家の言葉を読むのもよいかもしれません。

平野啓一郎が、『文学は何の役に立つのか?』の中で本作についての評論を載せていますが、それをもう一度読み返したくなりました。やはりあの本は手元に置いておきたい一冊だ。

韓国の「ハヤン」と「ヒン」の違い、特に「ヒン」についての感性は興味深かった。ところで、日本には「白ける」という言葉があって、興ざめの雰囲気を白という色で表しますが、韓国や他の国には同様の表現があるのだろうか?

製本が一風変わっています。写真だと色が出てないのでわかりにくいですが、4つほどの違った色の紙を使っています。ページを横から眺めると、ひな祭りの菱餅のように見えます。こういった造りの本には初めて会った。

作者プロフィール。

翻訳者プロフィール。

奥付。

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p.s. 午後から買い物いったら疲れがどっと出た。2800引いて600残し。